人間の精神は、満たすべき器ではなく、   くべるべき炎である。

プルタルコス

基本的な考え方

~代表者あいさつに代えて~

子ども達が社会で活躍するのはどんな時代でしょうか?

いまの小・中学生が社会で働くのは、大まかに2030~2070年の40年間という長い期間です。40年間――これは非常に長い時間です。2018年の今から40年前と言えば1978年。ようやく普及したカラーテレビもチャンネル操作はダイヤル式、そんな時代です。その後、TVゲーム、パソコン、プリンター、携帯電話、インターネット、スマートフォン、ドローンなどが次々を発明されて、私達の働き方や娯楽は急激に変化しました。これが40年という時間の持っている力です。

このような過去40年間の変化の多くは、20世紀に生まれた「量子力学」という科学を土台とした「トランジスタ」というテクノロジーの発明に基づいています。そして科学とテクノロジーを両輪とした社会の進化は、今後ますます加速していきます。

遺伝子操作技術は、生命を完全にコントロールしつつあります。例えば「デザイナーベイビー」や「遺伝子ドライブ」など、倫理観の根本や自然全体に関わる技術も生まれつつあります。

またAI(人工知能)は、21世紀半ばには人間を超えるとも言われています。仮にそうなると後は加速度的に変化が起こり、人類が今後何百年、何千年かけて発見するはずだった科学をごく短期間で発見しつくしてしまうかもしれません。楽観視する見方もありますが、少なくとも「便利になるかも」「今ある仕事がなくなるかも」といった過去にもあったような話とは根本的に異なる問題です。21世紀は完全に予測不可能な時代なのです。

こうした時代にあって、日本の小学校ではプログラミングが2020年から必修化されます。しかし事の本質はプログラミングが必要だという単純な問題ではありません。変化が激しく予測が困難な21世紀を生きるのに必要なのは「今」の社会が必要としている知識技術を教えるだけでは不十分です。

「魚を与えれば、その人は一日飢えずにすむ。魚の釣り方を教えれば、その人は一生飢えずにすむ。」

STEAMラボは、この中国の故事にもう一言付け加えます。

「魚の捕り方を生み出せる人は、自由に創造的に生きられる。」

今を基準にした「答」を教えるよりも、「答の学び方」を、そして「答の生み出し方」を身につけてもらう事の方が大切なのではないでしょうか。そのためにSTEAMラボでは「21世紀型スキル」の育成を目標にした「STEAM教育」を行います。この両者については、続くページで詳しくご紹介いたします。

子どもは未来の大人です。

変化の激しい時代にあってもその都度学び、新しい答えを生み出していける未来の大人が築く世界は、きっとより良い場所になって行きます。


 

STEAMラボ代表

小村 高弘(OMURA Takahiro)

工学修士。国立科学博物館認定サイエンス・コミュニケーター。

弓道四段。格言マニア。最近の趣味は、TEDトークと登山、時々Wikipedia翻訳。

<経歴>

大学院在学中に、国立科学博物館でスタートした『サイエンスコミュニケーター養成実践講座』を第一期生として受講。科学と社会をつなぐ仕事に興味を持つ。

卒業後は地元島根に戻り、市営の科学館にて生涯学習事業を担当。実験教室、企画展、大会イベント、サイエンスショーなどの新規企画を次々と立ち上げ、地元のケーブルTVや新聞にも度々取り上げられる。

海外での生活や翻訳に興味があったため、イギリスへ半年間の語学留学に行く。その後バックパックひとつでヨーロッパを一ヶ月ほど歩く。

帰国後、関東の大手科学実験教室に勤務。教室長として、幼児から中学生までの200人近くが通う教室を運営。全教室を対象としたイベントの開発担当としても手腕を振るい、プログラミングコースの立ち上げにも関わる。

<STEAMラボ立ち上げ>

「いつか役に立つから」といって、子どもの冷蔵庫に肉や野菜を詰め込むような教育…。
「ほら、おいしいでしょう?」といって、子どもにお菓子をあたえるような教育…。

そうではなく

「食べる人を想像して、自分で素材を集めて、自分で料理してみよう!」という教育。

そんな学習教室を2018年4月に開校。